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だいよんかいきゅうのぶんがく

第四階級の文学

中野 秀人

「文章世界 15巻9号」1920(大正9)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,065 字 · 9 页

青空文庫

何と云う冷淡な挨拶であろう。けれども何と云う尊い親切な言葉であろう。吾々は人の前に出る時に涙を拭いて居なければならぬ。そうしなければ恥を掻く。只一人で世界を相手に生きて行くのだもの、どんなにか「力」が要る事であろう。第四階級は殊に此の孤独と云うものが築き上げて行くものである。皆が手を以て自ら食って行くのである。「自分の事は自分で考えなければならぬ」とはプロレタリアの日常である。かの Into the people と云う言葉は、総ての人は何等かの生産に与からなければならぬと云う強い責任観を含んで居る。第四階級の文学は同情や哀願の文学ではない。反抗闘争の文学である。少しも弱身を見せてはならぬ文学である。苦虫を噛み潰して居なければならぬ文学である。茲に第四階級と云っても外面的に見ただけでは足りない。偉大なる作家は常に第四階級に居る。醒めたる人は常に精神上のプロレタリヤである。心の貧しきものである。が衣裳までも第四階級のものを纏めて来ようとする所に現代の興味がある。トルストイよりもドストエフスキーの方が吾々には懐しい。ホイットマンやトラウベルの詩に趣味性としての民主化さえ見る事が出来る。