轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいしんびょうおぼえがき
精神病覚え書
「文藝春秋 第二七巻第六号」1949(昭和24)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,027 字 · 18 页
文士の応接間と精神病院の外来室とは似たようなところだと僕は思った。いっそ応接間の隣へ電気治療室でも造ったら、僕のためにも便利だろう、と苦笑したほどであった。
そして、僕は思った。僕の応接間でもそうであるが、精神病院の外来室に於ても、患者たちが悩んでいる真実のものは、潜在意識によってではなく、むしろ、激しい祈念と反対の現実のチグハグにある、と見るのが正しいのだ、ということを。
彼らは、自分の悩んでいるものを知っているのである。たゞ人に言わないだけだ。そして、人に縋ったところで、どうにもならないということを悟り、そういうところから厭人的になり、やがて、神経が消耗してしまう。僕の応接間と、精神病院の外来室との違うところは、外来室に於ては、彼らは自らの意志ではなく、他の人々にすゝめられて来ており、従って、医者に対しては外部的なことだけしか語らないが、僕の応接間では、彼らは自らの意志によって来ており、主として内部的なことを語ろうと努力していることの相違である。
だから彼らは徳義上の内省については普通人よりも考えあぐね、発作の時期でなければ、むしろ行い正しく、慎しんでいるのが普通であり、精神病院の看護婦などが、患者に親切で、その仕事に愛着をもつようになるのも、患者らの本性の正直さや慎ましさが自然にそうさせるのではない