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しろうとせいとうほんがまをきずくべからず

素人製陶本窯を築くべからず

北大路 魯山人

――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,919 字 · 25 页

青空文庫

うるさいことをスッパ抜く奴と思われることを必定として、ここにもう一ぺん念のため語らざるを得ないのはなんとしても翁の驚くべき勘違いである。なるほど、前山さんは茶道に縁あって以来というもの中国陶磁に朝鮮陶器に日本ものに、ありとあらゆる名器を幾度となく、繰り返して玩味せられたであろう。しかしてわれわれいわゆる素人が製陶に手を出した場面を目前に見られてはヨシ俺もという気になって事業家として成功せし自信を……聡明を……製陶の上にも盛り切れるものとして、扼腕し、たちまちのうちに志野も黄瀬戸もたちどころに再生させてみんと心をいら立てられたに違いない。

聡明そのもののような趣味人たる諸氏がなぜかくも揃って軽挙されるのであろう。そうして不甲斐なくも悉く失敗の跡を遺して苦笑されるのはなんであろう。いやしくも男子一度志を立てた仕事である以上そうやすやすと瞬時の中に、事、志と違うようでは遺憾ではないか。諸氏はなにが故にかくも揃って苦い経験を作陶の上に舐められるのであろう。

私にいわしむるならば、それは別段とくに不思議な因縁があったわけではない。思いもよらざる事柄が飛び出して挫折したわけでもないのだ。