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そぼくなにわ

素朴な庭

宮本 百合子

「山陽新報」1924(大正13)年4月9、10日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,657 字 · 4 页

青空文庫

ジョージ・ギッシングは、非常に困難な一生を送り、芸術家としても決して華やかな生涯は経験しなかった人らしいが、彼の作物のあるものの裡には、殆ど東洋的な静謐さ、敏感な内気な愛が漲っている。四季に分けて書かれたヘンリー・ライクロフトの私記と云う随筆集の中に、彼の庭園についての好みを書いてあるところがある。彼の心持が私には自分のもののように思えた。

「庭掘りに来た善良な男は、私の特殊な好みの理由を明かにするに迷った。私は、自分の向ける彼の眼の中に、怪しみ考えに沈んで居るらしい表情があるのを屡認めた。理由は他でもない、私は普通あり来りな花壇を彼に作らせず、家の前の僅な地面だけを実にあっさり、装飾的に手入れさせたからである。

最初、彼は其を私がしわいからだと解したらしい。けれども、今では其が説明にならないのを知った。彼にはどうしても、私がしんから、誰でも夙かしがりそうにつまらない素朴な庭園が好きなのだと云うことが、信じられないのである。又、私は夙うから自分につけて説明することは断念して居る。彼は大方余り沢山な本や孤独な習慣の為に彼の所謂私の『理性』が少し如何うにかなって居るのだとでも結論したであろう。