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ぜったいむじゅんてきじこどういつ

絶対矛盾的自己同一

西田 幾多郎

「思想 第202号」1939(昭和14)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,000 字 · 99 页

青空文庫

歴史的社会的世界というのは、作られたものから作るものへという世界でなければならない。社会的ということなくして、作られたものから作るものへということはない、ポイエシスということはない。我々が考えるという立場も、歴史的社会的立場に制約せられていなければならない。

哲学の出立点については多くの議論があることであろう。我国の今日まででは、大体において認識論的立場とか現象学的立場とかいうものが主となっている。かかる立場からは、私のいう所が独断論的とも考えられるであろう。しかしかかる立場も、歴史的社会的に制約せられたものでなければならない。我々は今日、元に還ってローギッシュ・オントローギッシュに歴史的社会的世界というものを分析して見なければならない。かかる立場から、私はなお一度ギリシヤ哲学の始から考え直して見なければならないとも思うのである。主客対立の認識論的立場というのも、なお一度吟味して見なければならない。知るということも歴史的社会的世界においての出来事である。私は古い形而上学に還ろうというのではない。私はカント以後にロッチェがオントロギーの立場に還って認識作用を考えたと思う。