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ぜったいむじゅんてきじこどういつ

絶対矛盾的自己同一

西田 幾多郎

「思想 第202号」1939(昭和14)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,000 字 · 99 页

青空文庫

直線的なるものが円環的なる所に、創造ということがあるのである、真の生産があるのである。

歴史的世界においては、過去は単に過ぎ去ったものではない、プラトンのいう如く非有が有である。歴史的現在においては、何処までも過去と未来とが矛盾的に対立し、かかる矛盾的対立から矛盾的自己同一的に新な世界が生れる。これを私は歴史的生命の弁証法というのである。過去を決定せられたもの、与えられたものとしてテージスとすれば、それに対し無数の否定、無数の未来が成立する。しかし過去というものが矛盾的自己同一的に決定せられたものであり、過去を矛盾的自己同一的に決定したものが真の未来を決定する、即ちアンティテージスが成立する。世界が矛盾的自己同一として創造的であり、生きた世界であるかぎり、かかるアンティテージスが成立せなければならない。而してその矛盾的対立が深く大なればなるほど、即ち真に矛盾的対立であればあるほど、矛盾的自己同一的に新なる世界が創造せられる、それがジンテージスである。現在において無限の過去と未来とが矛盾的に対立すればするほど、大なる創造があるのである。新なる世界が創造せられるということは、単に過去の世界が否定せられるとか、なくなるとかいうのではない、弁証法においていう如くアウフヘーベンせられるのである。