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ぜっけいばんこくはくらんかい
絶景万国博覧会
小栗 虫太郎
「ぷろふいる」ぷろふいる社、1935(昭和10)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,752 字 · 31 页
で御座いますもの。小式部さんが逆か吊りになると、視界が朦朧として来て、下の硝子板に映っているお祖母様の紅頭と白鼈甲の笄が、黒と本鼈甲の自分のもののように見えてしまうのです。また、それから半回転して天井の鏡を見ると、そこにもやはり同じものが映っているのですから、当然回転が早められたような癇の狂いを感じて、そのまま失神くなるような眩暈を起こしてしまったのです。つまりその隙にお祖母様は、薬草切りで可遊の背後から手を回して刺したのでしたし、それから何も知らずに気を失っている小式部を絞め上げるのは、何の雑作ない事では御座いませんか。云うまでもなく、二人の仲を嫉かんだ上での仕業だったでしょうが、それからと云うものは黒笄の逆立ちを、お祖母さまは何よりも怖れられたのです」と云い終ると、杉江はお光の頬に熱い息を吐きかけて、狂気のように掻い抱いた。そして血の筋が幾つとなく走っている眼を宙に釣り上げて、杉江は胸の奥底から絞り出したような声を出した。
「ですけどお嬢様、今になって考えてみると、あの時私が――怨念も意地も血筋もない私が、何故ああ云う処置に出たのだろうと、自分で自分が判らないので御座いますのよ。