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ぞくだらくろん
続堕落論
「文学季刊 第二号(冬季号)」1946(昭和21)年12月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,653 字 · 15 页
彼等は親友隣人を執拗に裏切りつづけているではないか。損得という利害の打算が生活の根柢で、より高い精神への渇望、自我の内省と他の発見は農村の精神に見出すことができない。他の発見のないところに真実の文化が有りうべき筈はない。自我の省察のないところに文化の有りうべき筈はない。
農村の美徳は耐乏、忍苦の精神だという。乏しきに耐える精神などがなんで美徳であるものか。必要は発明の母と言う。乏しきに耐えず、不便に耐え得ず、必要を求めるところに発明が起り、文化が起り、進歩というものが行われてくるのである。日本の兵隊は耐乏の兵隊で、便利の機械は渇望されず、肉体の酷使耐乏が謳歌せられて、兵器は発達せず、根柢的に作戦の基礎が欠けてしまって、今日の無残極まる大敗北となっている。あに兵隊のみならんや。日本の精神そのものが耐乏の精神であり、変化を欲せず、進歩を欲せず、憧憬讃美が過去へむけられ、たまさかに現れいでる進歩的精神はこの耐乏的反動精神の一撃を受けて常に過去へ引き戻されてしまうのである。
必要は発明の母という。その必要をもとめる精神を、日本ではナマクラの精神などと云い、耐乏を美徳と称す。