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みどりいろのとけい
緑色の時計
小川 未明
「幼年ブック」1948(昭和23)年6月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,276 字 · 7 页
」と、おじさんが、聞きました。
「おけいこをしたいんだよ。」
「そんなら、S町の夜店へいってごらん。あのへんには、外人の家族が、たくさんきているから、出ないともかぎらない。」
まったく、雲をつかむような話なのだけれど、おじさんのいうことを聞くと、なんとなく、そうかもしれぬと思うのです。
「S町へいってみるかな。」と、弟が、いいました。すると、おじさんが、
「この時計も、あすこの露店で買ったのだ。スイス製のなかなか正確なやつで。」と、おじさんは、時計をうでからはずして、ぼくたちに見せました。
ぼくは、まえから、いい時計だなと思っていたのでした。形がめずらしく、長方形をして、緑色のガラスが、はまっていました。手にとってみるのは、はじめてだけれど、するどい、ぜんまいの音が、チッ、チッとしています。
「ほかに、いいのを見つけたら、これを正ちゃんにあげるよ。」と、おじさんは、わらいながらぼくの顔を見ました。ぼくには、思いがけないことだったので、
「ほんとう?」と、聞きかえしました。
「ほんとうとも。だが、すぐではないよ。いいのを見つけてからだぜ。」と、おじさんは、いいました。