轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

りょくいのおんな

緑衣の女

松本 泰

「秘密探偵雑誌」1923(大正12)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,168 字 · 25 页

青空文庫

泉原はその孰れにも容易に耳を傾ける事は出来なかったが、たとえ彼を裏切ったとはいえ、目のあたり無惨な最後を遂げた昔の恋人を見ると、坐に涙を催された。泉原は死骸の側につきゝって、何呉となく世話をやいた。

甥のリケットはそれっきり姿を晦まして了った。警察に引致されたA夫人と、A嬢の監禁されていた宿の内儀さんの自白によって左記の事実が明白となった。

変屈者のA老人は唯一人飄然と海岸へ来て、旅館に滞在中、固疾の心臓病が起って危篤に陥った。報知によって倫敦から娘が看護に来た。娘はA老人の先妻の子で、現在のA夫人は数年前から倫敦へ別居している。A老人の容態は日一日と不良くなっていった。娘は父親にいえば不興を蒙るのを知っていたが、病気の経過が思わしくないので、思い余って密にA夫人に手紙を出したのであった。するとA老人が逝去った前夜、A夫人から電報が来て、九時に停車場に着くから迎えに来てくれと記してあった。娘は密に旅館を抜出して停車場へゆくと、彼等の罠にかゝって場末にあるリケットの仲間の家に監禁された。リケットの情婦グヰンが娘に生写しであるを種に、A夫人は娘のスエーターを剥取ってグヰンに着せ、真ものゝA嬢と見せかけて、大胆に海浜旅館へ乗込んだのである。