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ぶんがくずきのかていから
羅生門・鼻・芋粥
作家回忆童年家庭和文学启蒙,从看戏到读小说,一步步走向创作之路。看似平凡的开端,藏着怎样的根基?
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,240 字 · 69 页
白いメリヤスのシャツと下ばきばかりの若い男もあった。大きなかぎ裂きのある印半纏に、三尺をぐるぐるまきつけた、若い女もあった。色のさめた赤毛布を腰のまわりにまいた、鼻の赤いおじいさんもあった。そうしてこれらの人々が皆、黄ばんだ、弾力のない顔を教壇の方へ向けていた。教壇の上では蓄音機が、鼻くたのような声を出してかっぽれか何かやっていた。
蓄音機がすむと、伊津野氏の開会の辞があった。なんでも、かなり長いものであったが、おきのどくなことには今はすっかり忘れてしまった。そのあとで、また蓄音機が一くさりすむと、貞水の講談「かちかち甚兵衛」がはじまった。にぎやかな笑い顔が、そこここに起る。こんな笑い声もこれらの人々には幾日ぶりかで、口に上ったのであろう。学校の慰問会をひらいたのも、この笑い声を聞くためではなかろうか。ガラス窓から長方形の青空をながめながら、この笑い声を聞いていると、ものとなく悲しい感じが胸に迫る。
講談がおわるとほどなく、会が閉じられた。そうして罹災民諸君は狭い入口から、各の室へ帰って行く。その途中の廊下に待っていて、僕たちは、おとなの諸君には、ビスケットの袋を、少年少女の諸君には、塩せんべいと餡パンとを、呈上した。