轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うつくしいむら
美しい村
堀 辰雄
序曲「大阪朝日新聞」(「山からの手紙」の表題で。)1933(昭和8)年6月25日、美しい村「改造」1933(昭和8)年10月号、夏「文藝春秋」1933(昭和8)年10月号、暗い道「週刊朝日 第25巻第13号」1934(昭和9)年3月18日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,946 字 · 84 页
爺やはときどき羊歯を植えつける場所について私に助言を求めた。その度毎に、私の胸はしめつけられた。
一通りみんな植えつけてしまうと、爺やは私のそばに腰を下ろした。私の与えた巻煙草を彼は耳にはさんだきり、それを吸おうとはせずに、自分の腰から鉈豆の煙管を抜いた。
私はふだんの無口な習慣から抜け出ようと努力しながら、これもまた機嫌買いらしい爺やを相手に世間話をし出した。
「爺やさん、峠の途中に気ちがいの女がいるそうだけれど、それあ本当なのかい?」
「へえ、可哀そうにすこし気が変なんでございますよ、――先にはうちでもちょいちょい何かくれてやりましたもので、よく山からにこにこしながら、いろんな花を採って来てくれたりしましたっけが。……ただ、そいつの亭主というのが大へんな奴でしてね、こっちからわざわざ何か持って行ってやったりしますと、いつも酔払っていちゃあ、『くれるというものなら貰っといたらいいじゃねえか』と、嬶の気の毒がるのを叱りつけようてった調子なんですからね。……それで、こっちでもだんだん情が通わなくなって来て、この頃じゃ、もう、ちっとも構いませんです」
「何だってね、――その気ちがいって、ときどき川のなかへ飛び込むんだってね?」