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びみほうだん
美味放談
北大路 魯山人
「星岡」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,841 字 · 16 页
初めから利益のために商売しているんじゃ、本当のことは出来ない。勘定を合わすことばかり考えていてはだめだ。今の料理屋は根本的にいえば器物からしてだめだ。食い物の相棒の食器のことを放縦していて、食い物をじかにお膳の上に置けますか……それを合わせ物かなにかで間に合わせてすましている。食器は食い物の女房のような役だ。食器がよくてもこんどはそれをのせるお膳だ。お膳を置く場所だ。これくらいのことをいえなくちゃ一流じゃない。それをですね、世間の料理屋は、なんにしても十円の物だとしたら、それは五円の価値しかない物を、十円取ろうとしているから、自分の女房を客席に出してサービスさせたり、主人が必要以上に挨拶に出たりなんかしなくちゃならないんだ。料理道の本分を全うせずして商売していこうとするから見識もなにもあったものじゃない。星岡は料理の本格学校みたいなものだ。それだけの力のある者はどんどん登用する。陸軍大学だって少佐に成ってから入るが、ここもそれと同じようなものだ。今の料理人はなにも知らん。板場でゴトゴトやっているだけで客席に出す様子も知らんしね。そんなことをどうするかっていうのが料理だ。