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つばさのやぶれたからす
翼の破れたからす
小川 未明
「赤い鳥」1924(大正13)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,807 字 · 8 页
やがて、静かに、日は暮れかかりました。からすの群れは、七羽、九羽、五羽というふうに、それぞれ列を造って飛んで帰りました。
「カア、カア。」と鳴いて、西の空をさして、いったのであります。
「昨日のからすは、まだこないだろうか?」と、太郎は、晩方の空を仰いでいました。すると、そのうちに、あちらから、たくさんの群れの一列が飛んできました。よく、それを見ると、昨日のからすの列でありました。
中ほどだった翼のいたんだからすは、今日は、いちばん列の後ろについてきました。けれど、べつに、ひとり後にとり残されもせずに、みんなと歩調を合わせて飛んでゆきました。
「どうして、今日は、いちばん後になったのだろう?」と、太郎は、哀れなからすについて、同情せずにはいられませんでした。
その夜は、昨日より、いっそう、そのからすのことが気になって、床にはいってからも、忘れられませんでした。あくる日、学校にいって、窓から、運動場で鳴いているからすを見ましたときに、あの哀れなからすを思い出したのであります。
彼は、「今日は、どうだろうか?」と、学校から帰ると、はやく晩方になって、いつものごとく、からすの群れの過ぎる時刻になればいいと待っていました。