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かんがえこじき

考えこじき

小川 未明

「子供の広場」1946(昭和21)年7、8月合併号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,263 字 · 9 页

青空文庫

戦時中にあいたあなが、まだそのままになっているのです。

「ねえ、きみ! 夜分通る人が、このあなへおちないだろうかね。」と、清吉は、道の上のあなをゆびさして、友だちにはなしかけました。

「さあ、おちるものもあるだろう。」

「けがをしないかね。」

「運が悪ければね、そのときの、ひょうしさ。」と、友だちのひとりは、答えました。

そうきくと、清吉は、それだけですまされることだろうかと思った。

「いったい、だれが、修繕しなければならぬのだろうかね。」と、清吉は、いいました。責任をもつものの怠慢がはらだたしかったのです。

すると、いつも元気で、快活なKが、

「どこかに責任はあっても、あまり多すぎて手がつけられないのだろう。」と、答えました。

「はやくなおさなければ、老人や、めくらがおちてあぶないがなあ。」

「そう、近所の人が、気がついたら、早くなおせればなおすんだね。」

Kは、いつものように、にこにこして、ほとんど、むとんじゃくでした。

ひとり、清吉は、まだ考えこんでいました。こうしたことは、どこへうったえ出ればいいのだろうか。こればかりでなく、身のまわりに、たくさん解決のつかぬことがあるような気がして、くよくよしたのでした。