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せいかぞく
聖家族
小山 清
「文芸 第十一巻第三号」河出書房、1954(昭和29)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,523 字 · 12 页
」
「生憎おれの家は大工だから納屋はない。こんな小さな部屋だが、お前さん一人の寝場所位は余っている。まあ、鞋を脱いで足を洗わないか。草臥れが抜けるから。」
ヨセフはマリヤに云いつけて桶に水を持ってこさせ、若者に足を濯がさせた。若者は夕飯の振舞も受けた。若者が食事をしている間に、夫婦はイエスに湯をつかわした。ヨセフはマリヤが支えているイエスの肉づきのいい肢体を、柔かい海綿で愛撫するようにこすった。イエスはいかにも気持よさそうに親たちのするがままになっていた。若者は食事をしながら、それを見ていた。
イエスが湯をつかって寝間着に着換え、寝床の中に入れられたときには、若者も食事を終えていた。若者はイエスの寝床を見て、ヨセフに云った。
「親方さん。この寝床は馬槽のようだね。」
「うん。馬槽だよ。」
それからヨセフは若者に向ってその由来を話した。戸籍登録をするために、既に産月になっていたマリヤを伴ってユダヤのベツレヘムまで行ったが、旅籠屋に泊ることが出来なくて、仕方なくとある馬小屋を見かけて一夜の宿を借りたところ、その夜イエスが生れたということを。
「羊飼の夫婦がこの子に産湯をつかわしてくれた。