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のうめんのひみつ
能面の秘密
「小説新潮 第九巻第三号」1955(昭和30)年2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,440 字 · 35 页
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翌日任意出頭の形で熱海署に現れた今井は一昨夜は九時から十一時まで新宿で酒をのんで十二時前に帰宅していると述べた。
「今朝新聞でよんで知ったのですが、大川さんはゆすりではありませんね。むしろ金を貸していたのです。六七百万は奥さんに貸していたでしょう。奥さんは株に手をだして近ごろでは大損の連続で、もう売る物もつきかけていたようですよ。ちょッとした鉱物のでる山が残っていまして、これが貧鉱なんですが、それをぼくに売ってくれとの頼みで、なかなか買い手がウンと云わなかったのですが矢の催促です。これをどうやら千八百万で契約ができて半金だけ現金払いあとは三月後の手形ということで一週間ほど前にそこの社員とぼくが当家へきてとりあえず九百万の現金を渡して正式に契約書を取り交しました。そのとき奥さんにもう株をやってはいけませんとくれぐれも念を押して、また大川さんからの借金も払ってあげて下さいとおたのみしておいたのです。大川さんが一人で熱海へ見えられたのはそれを受けとるためで、私が保証人になっていた借用証も持って行かれました。そのタンポはこの豪華な屋敷ですから、これを元利六七百万で人手に渡すバカな話はないのです。