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しぜんかいのしまもよう

自然界の縞模様

寺田 寅彦

「科学」1933(昭和8)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,541 字 · 23 页

青空文庫

というよりはむしろ、そういう理由を「知らない」ためである。しかし、自然は人間の知らないいろいろな理由を知っており、持ち合わせているために、世界の万物はことごとく円や球や均質平等であることから救われるのである。二十余年の昔、いろいろこういう種類のことを考えていたころに、何よりもまずわが国に特有で子供の時からなじみの深い「金米糖」というものの形が自分の興味を引いた。どうしてあのように角ができるか、どうして角の数が統計的に一定になるか、この疑問を年来いだいて今日に至る間に、おりにふれてはこれによく似たいろいろの問題が次第に蓄積して来た。しかし、問題が増すだけで解釈のほうは遺憾ながら、いくらも進まないが、ただ、これら類似の問題の中には、いくらか解釈の見当のつきかけたものもある。それらの問題を系統的に分類でもすればいいわけであるが、まだそこまでの整理ができていないから、ここではただ将来の参考のための備忘録だと思って、以下に思いつくままを無秩序に書き並べるに過ぎない。読者もどうかそのつもりで読んでもらいたい。

金米糖の場合については理学士福島浩君がまだ学生時代の夏休みに理化学研究所へ来ていろいろ実験した結果が発表されている。