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じゆう

自由

小川 未明

「童話文学」1929(昭和4)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,616 字 · 6 页

青空文庫

私は、十年、二十年、牢獄にあった囚徒が、放免された暁、日光のさんさんとしてみなぎる街上へ、突き出されたときのことを想像したのであります。

彼らが、鉄窓の下で、やせた両手を高くさし伸ばして、

「自由を与えよ。しからざれば、死を与えよ!」と、叫ぶ声を、このときこそ、はっきりと聞くような気がしました。

やがて、日が暮れかかった。あの鳥はどこへいったろう。これにこりて、二度と人間の手に捕らえれることもあるまいと思われました。しかし、かごから脱け出して、自由となったのは、たまたま一羽だけであって、あの鳥屋に、また多くの家庭に、たくさんの鳥が、狭いかごの中にいれられているけれど、そして、大空を自由に飛ぶことをあこがれているけれど、だれも、それらの鳥のために考えるものがないばかりか、その鳴く声を楽しんでいる。たとえ鳥に対してすら、人間にはそんな権利がないのを、同じ、人間の自由を束縛したり、または牢獄にいれたりする。そして、自分のすることについて矛盾を感じなければ、そうした社会をよくしなければならないとも考えない。

街は、いつものごとく燈火に彩られ、人々は、歓喜しています。