轻松读懂日语经典作品
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したのすさび
舌のすさび
吉川 英治
「あまから」1960(昭和35)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,492 字 · 7 页
なんのかのと言ってみるが、要するにこっちの舌もすさんでいるのだ。日に煙草を六、七十本も吸う舌で食を語るなどはおこがましい。それと老舌は童味を恋う、ということもありはしまいか。『どうもいまの女はいけませんよ、ヒジキの煮方一つ知りゃあしない。ばかにするけれど、あのヒジキなんて物もどうして捨てがたい惣菜ですからな』とは或る日の文六先生が述懐でもあった。また、川奈ホテルの朝の食堂ではよくキャプテン・エチケットのお愛想をこぼしている大倉喜七郎翁の姿をお見かけするが、あるとき私が翁の耳元へそっと『いったい毎日、ご自分のお部屋では、何をいちばん好むおかずとして召上ってますか』と訊いたところ、翁もまた声を低め『てへ、へ、へ。ひじきとあぶらげです』と、仰っしゃった。
老舌の持ち主はどうやらみんなこんな風らしい。夏の細根大根が出はじめると、わたしは大根の茎のぬかみそ漬を好んでお新香に添えさせる。大根では茎がいちばん美味い。それなのに冬大根の出盛りなどには八百屋はみんな茎は切って店頭に捨ててしまう。わたしの子供時分にはただでもくれた。そして細かに刻んだのを飯にまぶしては掻っ込んだ。