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ほどう

舗道

宮本 百合子

「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页

青空文庫

一種の自負ありげに云うのがミサ子には気の毒だった。

「……二年は辛いわね、でも……」

「ああ。しかし、いろんな事業はやっていますよ。ボール・ベアリング、鉄の円い玉だが、カフス・ボタンやいろんなものにつかって銀ぐらいねうちのあるもの、あれの製造工場をやっているし……」

「儲かります?」

わきで紅茶をいれながら文子が、

「それどころじゃないのヨ!」

やりきれないという目顔をして見せた。

「今のところは、とてもそこまでは行きませんな。何しろ得意がああいうものはきまっているから、そこへ割込むのが大変だ」

ミサ子は、太田が十年余も大ブルジョア企業の中に働いていたのにまだそんなことを考えてるのかと不思議な気がした。ミサ子の浅い知識で理解したって今の不況は生産がなくて不況なんじゃない。在りあまって市場がないから不況なのだ。

「小資本じゃ駄目なんでしょう?」

「駄目だね。……だがこんどは一つトーキー映画会社をやりますよ、資本百五十万円の。――これは確にいいね!」

パラマウントが、天然色写真で同時にトーキーの何とかという最新撮影機を、元同じ××物産で今は蓄音器会社に関係のある友人へ特別契約でよこした。