轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はんにゃのめん

般若の面

小川 未明

「赤い鳥」1928(昭和3)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,249 字 · 9 页

青空文庫

田は、黄金色に色づいていました。小川の水は、さらさらとかがやいて、さびしそうな歌をうたって流れています。木々の葉は、紅くまた黄色にいろどられて、遠近の景色は絵を見るようでありました。

旅人は、道のかたわらにあった、木の切り株の上に腰をおろして休みました。そのとき、ちょうど町の方から、村の方へゆく乗合自動車が、白いほこりをあげて前を通ったのです。彼は、それを見ると、

「そうだ、二十年にもなるのだから、あの時分と変わったのも無理がない。」と、ひとりでいったのです。

この旅人は、ずっと以前に、あらしの晩、鍛冶屋の戸をたたいた若者でありました。あの後、北海道へゆき、それから、カムチャツカあたりまで出かせぎをして、いまは、北海道でりっぱな店を持っているのでありました。

「あの時計は、まだあるだろうかな。いろいろお世話になった。あのご恩は忘れられん。しかし、あの時計についている、磁石の般若の面は、子供の時分から父親の胸にすがって、見覚えのあるなつかしいものだ。いまも、あのかざりだけは目に残っている。よくお礼をいって、時計をかえしてもらいたいばかりにやってきたのだが……。