轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなさけるいし

花咲ける石

坂口 安吾

「週刊朝日別冊 第三号」1954(昭和29)年8月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,620 字 · 24 页

青空文庫

噂をきいて、江戸の剣客という剣客、腕に覚えの連中はあらかた他流試合に乗りこんだが、一人としてよい勝負になった者がない。格段の差、順々にゴミのように打ち捨てられてしまったのである。師の法神はこの結果に満足し、房吉を江戸において帰村した。

房吉は木挽町と赤坂二ツの道場を掛け持ちし、主として御家人はじめ多くの門弟をとって非常に繁昌したが、ある夏の晩、帰宅の途中、不意に暴漢に襲われた。敵は十四、五人であった。何者とも分らないが、剣の遺恨であるに相違ない。名人房吉と知って斬りかかった一団だから、いずれも腕はたつ。暗夜に房吉をかこんで一時にジリジリと迫った。

房吉は自然に両刀を握っていた。臨機応変は法神流の持ち前だ。彼の身体が一閃して動きだした瞬間から、その動きは彼自身にも予測のできないものであった。敵の動きに応じる変化があるだけなのだ。走った。斬った。逃げた。斬った。敵の大部分が負傷して追う者がなくなったので、房吉は難なくわが家へ帰ってきた。彼自身は一太刀も傷をうけていなかった。

留守をまもっていた儀八と太助は彼が村から連れてきた高弟で、師範代であった。