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はなたばのむし
花束の虫
大阪 圭吉
「ぷろふいる」ぷろふいる社、1934(昭和9)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,893 字 · 36 页
で、最近は如何でしたか?」
「ええ。三人程来られました。やはり劇団の方達です」
「その人達に就いて、もう少し伺えないでしょうか?」
「申上げます。――三人の内一人は瑪瑙座の総務部長で脚本家の上杉逸二さんですが、この方は確か三日前東京からおいでになり、今日迄ずっと町の旅館に滞在していられました。別荘へは昨日、一昨日と、都合二度程来られましたが二度共劇団に関するお話を主人となさった様です。後の二人は女優さんで、中野藤枝さんに堀江時子さんと申されるモダーンな美しい方達ですが、劇団がまだ職業的なものになっていませんのでそれぞれ職業なり地位なりをお持ちでしょうが、それ等の詳しい事情は妾は存じないので御座居ます。この方達は、昨日、やはり町の旅館の方へお泊りになって、別荘へも昨晩一度御挨拶に来られましたが、今日、上杉さんと御一緒に帰京されたそうで御座居ます。二人とも上杉さんとはお識合の様に聞いております」
「すると、その三人の客人達は、今日の何時頃に銚子を発れたのですか?」
大月の質問に、今度はカイゼル氏が乗り出した。
「それがその、調べて見ると正午の汽車で帰京しているんです。