轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かしょく

花燭

太宰 治

1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,501 字 · 38 页

青空文庫

けれども、――やはり私にも虫のよいところがあって、あるいは、知らせてもらえるのではないかしら、とも思っているのである。そうして故郷へ呼びかえされる。私は、もう、十年ちかく、故郷を見ない。こっそり見に行きたくても、見ることを許されない。むりもないことなのだ。けれども、母のその場合、もし私が故郷へ呼びかえされたら、そのときには、どんなことが起るか。

それを考えてみたい。

電報が来る。私は困る。部屋の中をうろうろ歩きまわる。大いに困る。困って困って唸るかも知れない。お金がないのである。動きがつかないのである。私の訪問客たちは、みんな私よりも貧しく、そうして苦しい生活をしているのだから、こんな場合でも、とても、たのむわけにはいかない。知らせることさえ、私は、苦痛だ。訪問客たちは、そんな、まさかのときでも、役に立たないことを私以上に苦痛に思うにちがいない。私は、訪問客たちに、無益の恥をかかせたくない。それはかえって、私にとって、もっともっと苦痛だ。私は、ふと、死のうかと思う。ほかのこととはちがう。母の大事に接して、しかもこのふしだらでは、とてもこれは、人間の資格がない。