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げいじゅつとしてのたんていしょうせつ
芸術としての探偵小説
野村 胡堂
「別冊宝石」1950(昭和25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 827 字 · 2 页
にはたらく人々がきまって登場するという、実に馬鹿馬鹿しい話であった。探偵小説でも同様で、そういった傾向は全く軽蔑すべきものであることを知らなければいけない。もっとあらゆる階級のあらゆる生活の中へ入り、違った角度から題材を捉えるべきだと思う。
入選作の「黄色の輪」はこしらえ物の感じがし、「罪深き死の構図」には、何となく病的な歪みが感じられた。また三十六人集全体の感じとしては、文章がトゲトゲしていて荒い。もっと温みと柔らかさが欲しい。名文と思われるものが一篇もなかったが、その点、もっと先輩諸氏に学ぶべきだと思う。
然しながら、ここに三十六篇一応読めるものが集ったということは、まことに慶賀すべきであって、探偵小説界に新人輩出の希望が明るく感じられる。(談)