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わかいふじんのためのしょだな

若い婦人のための書棚

宮本 百合子

冒頭部分「若い婦人のための書棚」は初出不詳。「大地」「孤児マリイ」は、「新女苑」1938(昭和13)年1月号。「追記」は、「宮本百合子選集 第十五巻」安芸書房1949(昭和24)年10月。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,077 字 · 17 页

青空文庫

「ウウジニイ・グランデ」、モウパッサンの「女の一生」(以上岩波文庫)などは法律の上にも経済の上にも受け身な女の一生の真情の悲劇を心を貫く如く描いている。「寡婦マルタ」(改造文庫)はポーランドの婦人作家オルゼシュコによって書かれているが、この作品は従来の女の教養が不幸を救う実力でないこと、近代勤労婦人発生の黎明期の物語として見のがすことのできない価値をもっている。

イプセンの「ノラ、人形の家」はもうふるいと一部にいわれるが、そのふるくない解決へ何歩私たちは歩み出し得ているだろうか。ツルゲーネフの「処女地」「その前夜」は歴史がその解決の試みへの足どりを示している。ジイドの「女の学校、ロベル」などは若い人々に読まれるが、この作者独特の観念のかった扱いかたで、現実の道は案外にもアグネス・スメドレイの「女一人大地を行く」を貫いて発展して出て来たところに通じているのではなかろうかと思われる。

日本文学が、万葉集時代、源氏、枕草子その他の王朝文学から「和泉式部日記」「更級日記」「十六夜日記」の母としての女性、徳川時代の「女大学」の中の女の戒律がその反面に近松門左衛門の作品に幾多の女の悶えの姿を持っていることは、意味深い反省を私たちに与える。