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わこうどのようきゅう

若人の要求

宮本 百合子

「月刊労働文化」1946(昭和21)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,535 字 · 5 页

青空文庫

思います。もう少し親切に少しは本当の“おしゃれ”の役にでも立つ、せめて同じ顔色と髪の毛を持った日本の女が、今の事情で綺麗に暮してゆける役にでも立つ物をみせて上げたらよいのにと思います。暑い時、口に入る一匙の氷はそれを胃に悪いからとばかりいって止められません。本当にそれで歩く元気も出る時があります。音楽にしろ、芝居にしろ、映画にしろ、一匙の氷の様なその時だけの、慰めに役立つものが、すべて無駄だという事は野暮です。しかし私達はその一匙の氷の中にいつかあった様な殺人甘味が入れられているとしたら、一匙の氷は、時にとっての清涼剤だとして安心していられるでしょうか。毎月見る婦人雑誌が、ただただシャボンの泡のきらめきの様なものだということに大した罪はないようだけれど、働いて一生を築いて行こうとする若い女性達の現実の毎日が、日本ではまだまだ嘘で堅められた民主主義で家庭の中の封建性も職場の中の封建性も、根絶やしにはなってはいませんし、労働法もそのままで、今度の議会では御無理、御もっとも式のものである時、生活にかかわる重大なそれ等の問題からすっかり若い人の心が離れてゆくということは親切なことでしょうか。