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くさをわけて
草を分けて
小川 未明
「せうがく三年生 13巻3号」1936(昭和11)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,772 字 · 6 页
釣りにいくときは、道具をみんな小さな弟に持たせるくせに、機嫌よくつれていかれないのですか?」と、政二くんにおっしゃいました。
「いっても、じきに帰るというから、いやなのだよ。」と、政二くんは、答えました。
「うそだい、僕に、さおを一本も貸してくれないんだもの、僕つまらないから、帰るといったんだよ。」
「なぜ、一本ぐらいさおを貸してやらないのです。」
「釣れはしないんだ。ただ、針を引っかけて糸を切ってしまうばかりだもの。」
こう、政二くんがいうと、辰夫くんは顔を赤くして、
「だれが、もうボールなど拾ってやるものか。」といいました。
「だれが、釣りになど、つれていってやるものか。」と、政二くんがいいました。
「辰夫さん、つれていってもらわなくても、晩に、お姉さんが、夜店へつれていってあげるから。」と、お姉さんがおっしゃいました。
辰夫くんの機嫌は、すぐに直ってしまいました。兄さんたちが、釣りにいった後で、原っぱで、ほかのお友だちと遊びながら、晩になるのを楽しみに待っていました。晩になりました。政二くんはお姉さんと辰夫くんが出かけるのを見ても、やせ我慢をして、つれていってくれといいませんでした。