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くさはらのゆめ

草原の夢

小川 未明

「教育研究」1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,095 字 · 9 页

青空文庫

」

こういって、正ちゃんは、おんばこの花茎をさがしに立ち上がりました。

「よし、善ちゃん、こんど僕とやろうよ。」と、私は、いいました。

「ああ、どんな強いんでもいいから、持ってきたまえ。」

善ちゃんは、まだたくさんある、自分の手の中の花茎をながめています。そして、正ちゃんのすわっていたところには、みんな半分に切れたおんばこの茎がいたましく散らばっていました。

白い雲の多い日です。日の光は、きらきらと草の葉の上にあたっていました。私たちは、おんばこをさがして実のなっている長い茎を抜いて歩きました。

「こんなに採った。もういいだろう……。」

走って、私は、善ちゃんのいるところへもどりました。正ちゃんも、幾本となく握って、かたきうちをしようと、勇んで駆けてきました。

「さあ、善ちゃん、僕としよう。」といって、私は、強そうなのをよって、向かいますと、善ちゃんの強い、正ちゃんのをみんな切った茎が、もろく破れて、私のに負けてしまいました。

「あんまり戦ったから、弱ったんだよ。」と、善ちゃんは、惜しそうに、半分になった茎を拾いました。それから、しばらく私の天下がつづきましたが、いつか、正ちゃんの太い強いやつにかなわずに負けてしまったのです。