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くさはらのゆめ
草原の夢
小川 未明
「教育研究」1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,095 字 · 9 页
「昔から、労症という病はあったのだ。ぴんぴん働いていた人が、だんだん元気が衰えていって、青い顔つきになり、手足がやせて、目ばかり大きく見え、そして、どこが悪いということもなく死んでしまう、いまは、結核なんていうが、昔は、魔がついて、人間の生き血を吸うのだといったものだ。それを、二股のおんばこを乾しておいて、燈心のかわりに、真夜中、病人の眠っているまくらもとにともすと、そのへやの中に同じ人間が、二人まくらを並べて、うりを二つに割ったように、かわらずに眠っている。その中の一人が、ほんとうの人間で、一人が、魔物の化けたのだ。それはいくら親兄弟でも、見分けがつかないという話だ……。」
おばさんの話は、奇怪であります。みんなは、聞いているうちに、気味が悪くなりました。野原の上には、日が当たっていたけれど。
「おばさん、ほんとうのこと……。」
「ああ、それで、魔物を殺してしまえば、本人の病気は助かるが、あやまって、本人を殺したら、とりかえしのつかぬことになってしまう。だれにも、その見分けがつかないから、どうすることもできない。」
「魔物だと思って、人間を殺してしまったら、たいへんだからね。