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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

永井荷風『荷風随筆集(上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:葛飾土産、鐘の声、銀座、里の今昔、寺じまの記、伝通院、夏の町、日和下駄、深川の散歩、放水路、水のながれ、向嶋、向島、元八まん、霊廟。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,224 字 · 269 页

青空文庫

西、両国、東、小柳と呼ぶ呼出し奴から行司までを皆一人で勤め、それから西東の相撲の手を代り代りに使い分け、果は真裸体のままでズドンと土の上に転る。しかしこれは間もなく警察から裸体になる事を禁じられて、それなり縁日には来なくなったらしい。

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金剛寺坂の笛熊さんというのは、女髪結の亭主で大工の本職を放擲って馬鹿囃子の笛ばかり吹いている男であった。按摩の休斎は盲目ではないが生付いての鳥目であった。三味線弾きになろうとしたが非常に癇が悪い。落話家の前座になって見たがやはり見込がないので、遂に按摩になったという経歴から、ちょっと踊もやる落話もする愛嬌者であった。

般若の留さんというのは背中一面に般若の文身をしている若い大工の職人で、大タブサに結った髷の月代をいつでも真青に剃っている凄いような美男子であった。その頃にはまだ髷に結っている人も大分残ってはいたが、しかし大方は四十を越した老人ばかりなので、あの般若の留さんは音羽屋のやった六三や佐七のようなイキなイナセな昔の職人の最後の面影をば、私の眼に残してくれた忘れられない恩人である。

昔は水戸様から御扶持を頂いていた家柄だとかいう棟梁の忰に思込まれて、浮名を近所に唄われた風呂屋の女の何とやらいうのは、白浪物にでも出て来そうな旧時代の淫婦であった。