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はなばなしきいちぞく
華々しき一族
森本 薫
「劇作」1935(昭和10)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,204 字 · 94 页
問題を面倒にしているのは、主として家の連中じゃァないのかい。
諏訪 あなたのように落ちつき返っていちゃ、何だって誰にだって罪も責任も起りゃしないわ。だって須貝さんさえ居なかったら、何もこんないろんな面倒なことは起りようがないじゃありませんか。
鉄風 しかし、事実は須貝はいたんだし、いろんな面倒なことは起ってしまったのだ。そう言う意味で須貝の責任を問うと言うことになると、ただ、須貝がこの世に生れたと言うことがいかんということになる。人間は誰だってこの世に生れたと言うだけの理由で非難をされる責任は無いさ。
諏訪 あなたの演説なんか妾は聴きゃしないのよ。妾は、どうしてもあの人に出て行って貰うのよ。妾はもう、あの人を信用することは出来ないんだわ。あなた方もそうよ。あなた方の中、誰があの人を愛して、誰があの人を信用したって、母さんはもう、あの人を信用することは出来ないのよ。あの人は軽薄で、嘘つきで、浮気者で、信用のない兵六玉よ。
鉄風 中々見事な弁舌だ。しかし、例えばあの人間を此処の家から出て貰うとしてもだね、どう言う理由で出て貰うんだね。まさか俺の娘が二人とも君を愛している、そういう状態では家庭の平均が保てんから出て行って呉れ、そう言うわけにも行かんだろう。