轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
らくじつのそうごんににる
落日の荘厳に似る
吉川 英治
――大観画伯の終焉
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,613 字 · 6 页
それが容器は番茶どびんだが中味は翁愛用の銘酒酔心の冷やなのであった。『例のお湯半ですか』と私からも注ぐと『じょうだんじゃありませんよ、この頃はもうこれです』。飲んでみると生一本の上々である。それを番茶茶碗でグイとやる。大観さんが飲むのではと、私もつい調子にのって飲みかつ喋べッた。およそ三十分間ほどな間に、相互何杯、さしつさされつしたことか分らない。
大観さんは日頃の食事も小鳥の餌サぐらいしか食べない方だし、私もその朝は胃に物をいれていなかった。だから二人ともテレビ係りのさしずなどはそっちのけで、談話の途中からすっかり酩酊ぎみだった。唯そのおかげでは、めずらしい事に大観さんがおはこの“谷中鶯”などを唄い出したものである。この歌は、岡倉天心を知るほどな往年の美校生にとっては、忘れがたい酒間の愛誦歌であったらしい。大観さんがこれを唄うときは、よほどな感興か※慨を催すときだとは、かねがね誰も聞いていたことなので、思いがけぬ好記念が録音に入ったと、そのときの関係者をよろこばせた。しかし対談が終ると共に、大観さんは仰向けに寝てしまい、私は自動車までかかえこまれる始末で、やっと家へ帰りついた事だった。