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らくご・きょうそれつでん

落語・教祖列伝

坂口 安吾

02 兆青流開祖

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,007 字 · 25 页

青空文庫

百姓の子供に文字を教えても仕様がないが、庄屋の長兵衛がうるさい老人で、雪国の百姓は冬出稼ぎにでる。他国へ行って文字の一ツも読めなくては不自由であるし、多少とも素養があると、人間、礼儀をわきまえる。百姓だからといって文字を知らなくていいという道理はない。手紙の用が足りるぐらいは覚えておきなさい。こういうわけで、坊主は寺小屋を押しつけられたが、村のガキどもは野良とお寺の区別なく鼠のようにあたけて寺のいたむこと。おまけに無給のサービス、一文の収入にもならない。農村では七ツ八ツになると、多少の手助けにはなるものだが、役にも立たぬ寺小屋通いに手伝いの手をとられて百姓どもは大ボヤキ、坊主はモライにならないどころか、ウラミをかう始末で、こんな迷惑なことはない。

ホラブンが子供に人気があるから、坊主は大そうよろこんだ。新居ができて引越しというときに、

「ブンさんや、今生のお願いだが、あんたのところへ寺小屋をひきとってくれないか。末代まで恩にきるよ」

「オレも家ができれば遊んで暮すわけにはいかない。しかし、女房が読み書きに多少の心得があるから、よろしい、寺小屋をやってあげましょう」