轻松读懂日语经典作品
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
「大阪毎日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月17日<br>「東京日日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,066 字 · 216 页
「しみッたれなもんか、あなたが慾張り過ぎるんだよ」
「だって、呉絽なら三本だが、緞子なら二本だなんて、―――」
「それで厭なら、たって差し上げようとは申しません。此方も大きに助かる訳だ」
「ふ、ふ」
半分は上の空らしいあいそ笑いをしただけで、しずかにページを繰る音が聞えた。
「当分はあれに夢中らしいな」
と、廊下を曲りながら高夏が云った。
「ええ、何でも珍しいうちだけで、長つづきはしないのよ。子供に玩具をあてがったようなものなんですから」
美佐子は八畳の茶の間へ這入ると、夫のすわる座布団の上へ客を請じて、自分は紫檀のチャブ台の前にすわりながら、
「お小夜や、トーストを持って来ておくれ」
と、台所の方へ云いつけておいて、うしろの桑の茶箪笥をあけた。
「紅茶がいい? 日本茶がいい?」
「どっちでもいい。何かお菓子のうまいのはないですか」
「西洋菓子なら、ここにユーハイムのがあるわ」
「それで結構。人の食うのをただ見ていたってつまらんからな」
「ああ、ここへ来たんでせいせいしたけれど、でもまだ何だか臭いようね」
「幾らかあなたにも移ったか知れんね。まあ何と云うか、明日出かけて御覧なさい」