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きょこうのはる
虚構の春
「文学界」1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,586 字 · 108 页
失礼。おからだ気をつけて。こんどの日曜日に行く。うちから林檎が来ているが、取りに来て下さい。清水忠治。叔父上様。」
月日。
「謹啓。文学の道あせる事無用と確信致し居る者に候。空を見、雑念せず。陽と遊び、短慮せず。健康第一と愚考致し候。ゆるゆる御精進おたのみ申し上候。昨日は又、創作、『ほっとした話』一篇、御恵送被下厚く御礼申上候。来月号を飾らせていただきたく、お礼如此御座候。諷刺文芸編輯部、五郎、合掌。」
月日。
「お手紙さしあげます。べつに申しあげることもないのでペンもしぶりますが読んでいただければ、うれしいと思います。自分勝手なことで大へんはずかしく思いますがおゆるしください。御記憶がうすくなって居られると考えますが、二月頃、新宿のモナミで同人雑誌『青い鞭』のことでおめにかかり、そしてその時のわかれ方が非常に本意なく思われて、いつもすまなく感じていて、自分ひとりでわるびれた気持になっています。いつかお詫びの手紙を出そうと念じながらも、ひとりぎめの間のわるさの為に、出しそびれて、何かのきっかけをと思い、あなたの『晩年』とかいうのが出たら、そのときのことにしようと最近心にきめていましたところ、今日、本屋であなたの一文を拝見して、無しょうにかなしくなり、話しかけたくなりました。