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きょこうのはる

虚構の春

太宰 治

「文学界」1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,586 字 · 108 页

青空文庫

二三日、何事かへ本気になったならば、僕自身をほろぼしてしまいそうでならない。本気になれぬ。そういうことで、勿論、何事も出来る筈はないけれども、それで、ごく、満足しています。『ユーモアについて。』と題し、中学時代のあなたの演説を、ぼくは、中学校一の秀才というささやきと、それから、あなたの大人びたゼスチュア以外におもいだせないけれども、多くの人達は、太宰治をしらずに、青森中学校の先輩津島修治の噂をします。青森の新町の北谷の書店の前で、高等学校の帽子をかぶっていたのへ、中学生がお辞儀した。あなたはやはり会釈を返したとき、こちらが知っているのに、むこうが知らないことはさびしいと思ったが、あなたに返礼されただけでそれでもいささか満足であった。僕は、今年で大学を終らなければならないけれども、出来るかどうかあやぶまれますけれども、卒業することにきめて居ります。文学といえばじつのあることは少しも出来るはずなく、風景や女の人にみとれてくらしています。『双葉』という少女雑誌で僕の皿絵という小説がおめにふれたとすればと汗するおもいがしました。(岩切)という人にあって聞きました。