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へび
蛇
「中央公論 第二十六年第一号」1911(明治44)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,073 字 · 23 页
基督の山の説教なんぞを高尚なように云うが、あれも利害に愬えているのですからねぇ。」
「なるほどそうです。赤ん坊は赤い物に目を刺戟せられれば、火をでも攫む。それと同じように、女は我慾を張り通して、自分が破滅するのですね。」
「まあ、そんな物でしょう。だから、赤ん坊を泣かせて、火を攫ませないようにする。赤ん坊を大人と一しょには扱わない。無政府主義者でも、社会主義者でも、下の下までの人間を理性のある人間と同一に扱おうとしているから間違っているのです。一般選挙権の問題でからがそうです。多数政治なんというものも、将来これに代るべき、何等かの好い方法が立てば、棄てられてしまうかも知れません。詰まり galit という思想が根本から間違っているのですね。女だって遠くが見えないために、自分の破滅を招くような事をすれば、暴力で留めなくてはならないでしょう。」
「先生はそうお思いですか。独逸では小学校の教師に鞭で生徒を打つことが許してある。それから夫たるものは妻に打っても好いことになっているとか聞きましたが、先生のお考では、あれも差支がないのでしょうか。」
己は覚えず微笑んだ。