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われはうたえども やぶれかぶれ
蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
室生 犀星
室生犀星『蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ』。同一底本的分册已合并为一书。收入:われはうたえども やぶれかぶれ、老いたるえびのうた。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,726 字 · 90 页
に入れた。その大正年間の作家対記者の問答は凡て執筆依頼と同じ言葉を継いで、原稿料の額が商談されたものであった。原稿料の判定のない執筆依頼はどこかにその作家を見下げたような気配もあって、君、ところで原稿料は幾らかと早々に帰ろうとする記者をつかまえて能く聞き咎めたものだ。原稿料の額はちょっと言いにくいものであるが、大正年間では比較的に軽く交互にそれらが打ち合せられた。これは菊池寛、広津、里見、宇野あたりが習慣づけたものであろうが、作家の強みが金のうえに出ていて気丈夫でもあった。宇野浩二の名前はどういう雑誌にも執筆され、私も原稿料に眼がくらんだようによく書き、まるで宇野と書きっくらをしている大量の小説を書いていた。着物の好みに贅沢を愛した宇野浩二は宴会などでは、襟元をきちんと合せて眉の上に気色宜げなひふのあふれを見せ、一応、つねに胴ぶるいしているようであった。宇野のまわりには菊池や久米や芥川がいたのは、宇野がそこに交りこんだのか判らないが、颯爽としておとなの感じだった。少しもこどもぽくはない、宇野はつねにおとなの作家だったのである。
宇野は自宅に湯殿があったのに、銭湯を愛して本郷森川町の公衆浴場で入浴していたが、角川書店の山本さんの話では、よく銭湯で宇野に出会い、山本が退社後の夕刻の時にはいりにゆくと、何時でも