轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
「週刊朝日別冊 記録文学特集号」1949(昭和24)年9月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,644 字 · 49 页
陽の目も見えない大樹林の中で、食べるものもなくて……」
「それはたいへんだったといいたいところだが、どう見ても、お前の面は、美食して、安楽に暮していた面だよ」
「嗜好の善悪とは、緯度の差でしかない、と誰かがいった。見方を変えれば、僕は、すごい美食をしていたといえる」
「なんだい、緯度の差ってのは」
「アフリカやアラビヤでは、猿は最上の美食だということだが、僕らは、オランウータンばかり食っていた。食い残した猿の腕や掌が、その辺に投げだしてあると、人肉でも嗜食したような罪感をうけた」
「アッペリゥスという男のボルネオ紀行に、オランウータンを生捕りにする話があるが、あれァ、なかなか掴まらないものなんだろう。山川のようなのろまに、よくそんなことができたな」
「これでもずいぶん殺した……チーズのような猛烈な臭気のある、ドリアンという熱帯果実は、猿の大好物で、それが熟すころになると、五十匹、百匹という集団をつくって、ジャングルの奥から出てくる。手はじめに、伐木して猿どものいる樹を独立させ、大勢で遠巻きにしながら、円陣を狭めて行く……兵隊が木の下まで這って行って、幹に手斧を打ちこむ。