轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きりぎりすのき

螽蟖の記

室生 犀星

在线阅读室生 犀星《螽蟖の記(きりぎりすのき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,632 字 · 8 页

青空文庫

九月中頃になると昼間は七十度くらいであるが、朝は六十二三度、夜は五十七八度に下るから生きていても鳴かなくなる。つまり寒さにいじけてしまうのである。十月になるともう碓氷の山中は初冬のような寒さに変るから昆虫類は生息できなくなる。霜が下りるからである。

僕は大抵、きりぎりすを一疋ずつ籠に入れて飼うているが、東京に持って帰っても二三日しか生きていない。途中汽車でゆすられる関係もあるが、気候が暑いためであるかも知れぬ。信州の山中は夏でも涼しい七十七八度であるから、東京の暑さにはかなわないのであろう。それに夜露とか湿っぽい草とか空気などのちがいが気候に敏感なきりぎりすには生きている力を与えないのであろう。

秋が深く夜寒さがつづくと、昼間はくさはらの上のほうに這い出して日光に長くとまり、しばらく余生をたのしんでいるように見える。長い脚が一本きりになったのや、羽根のさきが布目を出してボロボロになったのがいる。そのころは大抵さわり角(ひげ)は雑草にすりきられてしまい、短い淋しい糸の屑のようになっている。からだも痩せ落ち物音に敏感さが失われている。じっと日光のなかにこもっている姿は生葱をポリポリ齧っている鋸屋さんのおもかげがなくなっていた。