轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はえ
蠅
海野 十三
「ぷろふいる」1934(昭和9)年2月号~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,774 字 · 40 页
「ど、どうしたのだッ」
「せ、せんせい、あ、あれを御覧なさい」
ブルブルと顫う助手の指先は、表通に面した窓を指した。
博士は身を翻して、窓際に駈けつけた。そして硝子を通して、往来を見た。
大勢の人がワイワイ云いながら、しきりに上の方を指している。どうやら、向い側のビルディングの上らしい。
とたんに飛行機が墜落するときのような物凄い音響がしたかと思うと、イキナリ目の前に、自動車の二倍もあるような真黒なものが降りてきた。よく見ると、それには盥のような眼玉が二つ、クルクルと動いていた。畳一枚ぐらいもあるような翅がプルンプルンと顫動していた。物凄い怪物だッ!
「先生。恒温室の壁を破って、あいつが飛び出したんです」
「君は見たのか」
「はい、見ました。あのお持ちかえりになった卵を取りにゆこうとして、見てしまいました。しかし先生、あの卵は二つに割れて、中は空でした」
「なに、卵が空……」博士はカッと両眼を開くと、怪物を見直した。そして気が変になったように喚きたてた、「うん、見ろ見ろ。あれは蠅だ。タンガニカには身長が二メートルもある蠅が棲んでいたという記録があるが、あの卵はその蠅の卵だったんだ。