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まちのたんてい

街の探偵

海野 十三

「シュピオ」1938(昭和13)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,275 字 · 9 页

青空文庫

『果してそうかね。おい帆村君、空気抜けの上をしらべてみた方がいいと思うがね』

帆村は僕の顔をじろりと見たが、

『おい、屋上へ行ってみよう』

と僕を誘った。

懐中電燈をつけて、三階の階段をまた一つ上にのぼるとそこは屋上遊歩場であった。そしてその周囲は、高さ一メートルほどの厚い壁でぐるりととりまいてあった。その内側にぴったり寄り添って空気抜けの烟突がついていたが、この高さは、周囲の壁よりもずっと低く、五十センチぐらいしかなかった。そして遊歩場のレベルともうすれすれのところから、空気の出てくる横窓が明いていた。

『雨水がたまると、この穴から入りこみゃしないかなあ』

と僕は、この背の低い空気抜けを指していった。

すると帆村は、いきなり僕の腕をとらえた。

『おい今日は朝から寒かったね』

『それがどうした。今日は朝から冷たい雨がふっていたよ。昨日に比べて、たいへんな変り方だ』

『うむ、そこだ。それで話が分ってきた』

『どう分ってきたんだ』

『いや、もう一つ分らねばならないものがある』

と帆村はしきりと空気抜けの烟突のまわりをさがしていたが、やがてその烟突のすぐ近くに立っていた鉄板でくみたてた小屋に目を光らせはじめた。