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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
キャッ、キャッ、と大変なさわぎ。お蝶は耳の附根まで真ッ赤にそまり、コチコチに身動きができなくなって、長平によりそったまま、なやましい目を伏せたり、上げたりしている。
「いいわよ。お蝶ちゃん。覚えといで」
と、婆さん芸者はお蝶をにらんでおいて、年増たちに、
「じゃ、あんた方、芸をだしなさい。踊りがいいわ。槍さびがいいわね」
四人の年増が立ちあがる。婆さんが三味をひこうとすると、洋装の若いのがツと立って、
「私がひくわ」
と三味線をうけとる。すると年増の一人が、
「そう、そう。夢ちゃんの糸がいいわ」
「ひどいわねえ」
婆さん芸者は怒って睨む。夢子の糸で、婆さんが唄う。四人は踊りはじめた。
すでに長平は感づいていた。踊っている四人の年増は男なのだ。声でも分るし、電燈の下では扮装がハッキリしている。しかし踊りはたしかなものだ。所作がやわらかい。
婆さん芸者は本物の女らしいが、カツラ頭で男らしいところもある。洋装の美人芸者と半玉だけは本物の女であろう。
「あの四人は男娼ですか」
長平がきくと、せつ子はうなずいて、
「ええ。この席には女は一人もおりません」
「え? 洋装の人は髪の毛が本物でしょう」