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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
別のアンチャンがでてきたが、返事にきたのかと思うと、下駄を突っかけて、放二をすりぬけて、門に鍵をかけに行った。戻ってきて、凄い笑いをチラリと見せて、
「いつも、こうして鍵をかけておくんだけど、今日はどうしたことか、あんたが迷いこんできたから、泡をくったのさ」
そう言いすてて姿を消した。それから、実に卅分間ぐらい、音沙汰がなかった。
記代子が現にここに居たのを移動させているのだろうか、と放二は想像をめぐらした。あるいは放二を料理するための準備中かも知れない。そして、こんな場合に彼が蒙りそうないろんな料理のされ方を考えて、ジタバタしてもはじまらないから、とにかく身にふりかかる宿命をそっくりうけることにしようと心を決めた。身にふりかかる危険を払いおとす器用な才覚もなければ、鵞鳥の半分ぐらいの早さで逃げる体力もなかった。
三人のアンチャンが彼の目の前を素通りした。隣室でガタガタ何かやっていたが、また、素通りして姿を消した。彼が返事をうけたのは、ようやく、その後であった。
彼は、さっき四人がガタガタやった隣室へ招じられた。大きな丸テーブルに四ツの肱掛イスという応接間だが、造りは和風で、格子戸がはまっている。