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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

ニコニコしている顔に厭味がない。ちょッと古風なことを言ってみせる芸当など、芸界の生意気ざかりのアンチャンが、こうしたものである。

「君は立派な屋敷をもっているそうだが、屋敷もちは京見物の心得が違うようだね。人の住居が気になるかね」

「いろいろと見聞をひろめ、後日の参考に致そうと思っております。人間、焼跡のバラックでは、恒心がそなわりません。ぼくのバラックでは、庭が花園になっていますが、これは職業上の畑でして、家と職業は分離しなければ、家の落付きはありません。隠居家ということを申しますが、隠居家こそは家の建築の正常な在り方である、これがぼくの意見なのです。なぜかと申しますと、万人が家庭においては隠居である。彼は年若く、生き生きと、かつ多忙に働くが故に、家庭においては特に隠居でありたいと思う。これがぼくの意見です。そして、今後家をつくる時の理想なんです。京都の山手の住宅は、いかにも侘び住居、隠居家の趣きを極度に研究、洗練したもののように拝見いたしました」

「建築に凝ると、調度、書画などに凝るのが自然だが、その方はどうです」

エンゼルはニコニコと考えこんだ。