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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
四
社がひけてから、二三ヒマをつぶして、青木はゆっくり宿へ戻ってきた。すると、一足おくれて訪ねてきたのが記代子であった。
記代子は彼に笑顔すら見せなかった。突ッ立ったまま、
「ここにはいられないのよ。てもなく発見されてしまうわ。どこか、社の人たちに気づかれない旅館へ案内して」
頭上から噛みつくようにイライラと命令する。
「慌てることはないでしょう。お茶でも召しあがれ。アッ。なるほど。どなたか、お連れの方が表に待たしてあるんですね。遠慮なく、よんでらッしゃい」
青木はバカに察しがよい。敗北精神が骨身に徹しているのである。心にうちしおれたりとは言え、表には益々明るいホホエミをたたえて敵をもてなそうという志であった。
「連れなんか、ないわ」
「ヤ。失礼。すみません。ぼくは、ダメなんだ。すべての栄耀は人に具わるもの、そねむなかれ、という呪文を朝晩唱えるようになったからね。しかし、あなたが丈夫になって、ぼくも嬉しいです。世の大人物はあげてぼくを虐待するからね。陰ながら、病室の外まで見舞いに行っていたのを知っていますか」
青木がなれなれしく話しはじめたので、記代子は苦々しくふりきって、