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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「ここの勘定だけになさっては」
放二は言葉を探していたが、
「ちょッとの水で旱魃はどうしようもありません。生活原理を変えなければ。ぼく自身、旱魃のさなかで考えついたことなんですけど」
青木は驚いて青年を見つめた。
青年は目をふせて、一語ずつ探すように、静かに語っている。あらゆるものに未知な、あらゆる汚れに未知な青年の口から、大らかな言葉が高鳴りひびくのがフシギである。
「君、お金に困ったことなんか、ないだろう」
「そうでもありません」
放二の返事にはこだわりがない。しかし青木はそれを素直にうけとりかねて、
「君、ぼくを嘲笑っているのだろう。金の泥沼に落ちこんだ餓鬼をね」
「そんなことはありません」
「旱魃はちょッとの水じゃ救われないッて、それが、なにさ。金の泥沼は、そんなものじゃないんだよ。金の世界は、その日ぐらしのものさ。一日の当てがありゃ、又、なんとかなる。攻略し、退却し、又、攻略し、まさに絶えざる戦場だよ。まだ、あんたには分らない。分らなくて、しあわせなのさ」
しかし、この青年に敵意はもてなかった。
「君はやさしい心をもってるんだ。そして、ぼくをいたわってくれたんだ。