轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うらぎり

裏切り

坂口 安吾

「新潮 第五一巻第九号」1954(昭和29)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,343 字 · 70 页

青空文庫

しかし、ここで勇気をくじくわけにはいきません。

「ここまで来たからには仕方がねえ。横浜へ行って支那料理が食ってみてえな」

とうとう横浜へ行きました。トオサンの愛の告白は山下公園をブラリブラリと横切りながら行われたということです。

「ヤブから棒にこんなことを云っちゃアおどろくのは無理もないが、私もね、小夜子サンの恋人がマトモな人なら、私の恋心なんてえものはとるにも足らないものだから、一生だまっていたかったんだ。それはもう小夜子サンを一目見た男という男が惚れてるようなものだから、私なんぞがオクメンもなく白状に及ぶのは笑うべき次第さね。五十五にもなって、女房子供もあって惚れたハレたもないものだが、こうしていったん云いだしたからには、とにかく私の心境――と云っては大ゲサかも知れないが、私の気持というものを一通りきくだけはきいて下さい。実は私は夫婦のチギリばかりじゃなく、男女が愛し合う通例の愛し方、生活の仕方というものに疑いをもっているのだが、人々が恋をする、クチヅケをする、また肉体の交りをむすぶ、それだけを恋愛と思うのは波を見て海を見ないような気がするんだね。